ボタンダウンシャツは風を孕んで

連日の雨で心がどんより。今日のライブに行くことがとてもこわい。 空はもう晴れているが、春を予感させる薄水色の曖昧な空は、かえって不安を煽る。 つい先週ライブしたはずなのに、やっぱりバンドと弾き語りってのはまたちょっと勝手が違うのよね。弾き語…

飯屋って苗字、メシアみたいでかっこいい

あけました。2024年。 めでたい人も、全然めでたくない人も、今日まで生きてきてえらい。今日まで生きてこんな全然売れてないミュージシャンのブログ見にきてくれてありがとう。 それだけで君がとてもやさしい人だってわかる。僕の歌聞いて僕のこと気にかけ…

2023.11.11 『君は君を生かす』

伝えたいことがありすぎて何にも書けなくなってました。 2023年11月11日、彦根COCOZAは本当にいい夜だった。いや、いい夜なんて言葉じゃ全然足らない。たくさんの人が、何度も人生を諦めかけて、それでも死なずに、あるいは死ねずに、昨日2023年11月11日まで…

歌に心中、黄昏に青

弾き語りのレコ発ライブが終わった。 本当に自分のなかで、ここまでやってきてよかったという達成感と、充足と、でもできたらもっとたくさんの人に届けたかったなという悔しさと、そういう感情がすべてフードプロセッサーにかけられて、今はひとまずポジティ…

開襟シャツは風をはらんで

ライブをたくさんやった。4/30の岐阜に始まり、新栄、心斎橋、今池、上前津と2週間ぐらいで結構な数のライブをこなした。何か掴めたかと聞かれたら、正直そんなことはないかも。 こんなことは言わない方がいいんだろうが、自分の中で納得いかないライブが多…

会話はデウスエクスマキマに聞かれている

伝串を食べたい気持ちを抑えられず、新時代に行った。 のだけど、今日は期待していたほど美味しく感じられなくて、落胆した。同時に、僕はこうやっていろんなものを切り捨てながら今まで生きてきたのだろうなとやけに冷淡な気持ちが芽生えた。 新栄club rock…

140文字じゃあ到底

今日はyomosugaraのスタジオ練習だった。 今日の練習は20時からだった。夜にスタジオに入るのは久しぶりだ。 スタジオ練習を終えてから、新栄の中華料理屋に行った。 ライブ文化がもっと盛んだったコロナ禍前は、いつ行ってもどこかのバンドマンたちが打ち上…

二十三時半、独り言つ

今後の自分の指針として書いておくメモのような。 次に作る作品には、言葉とひたすら向き合った曲を入れてみたい。 今まで曲先で作ってきて、メロディの拘束性に悩まされることが多かった。それは音楽を作るうえで避けては通れない障害だと思っていたけど、…

夜もすがらもの思ふ頃

もうずっとバンドを組まないでおこうと思っていた。夜な夜な、自分を誹る誰かの声が聞こえてきて、一人でに悲鳴をあげた。 それでも、バンド音楽が大好きだった。じゃきじゃきと刃物のように喧しいギターの音。楽曲の間を這い回り、ときに遊び、ときに実直に…

時には昔の話を、って言うけどあなたいつも昔の話してるわね

本当に久しぶりに、ちゃんかなさんと話をした。 ちゃんかなさんというのは誰かというと、数年前ぼくが鬱になって逃げ出したサイフォニカというバンドでドラムを叩いてくれていた人だ。 高校の同級生でもあり、かなり長い付き合いだったけど、サイフォニカの…

青テルマ山テルマ / 二人いるね

今日は風が気持ちいい。日陰に入ると太陽の煩わしさを忘れ、ただ風の心地よさだけを享受することができる。梢がさやさやと揺れ、細かな影がそのたびに揺れ動く。テレビゲームが大好きなぼくは、いつかはこんな光の処理さえ完璧に再現するエンジンが現れるの…

本当は格好なんてどうでもいいと思っていたかったよ

「そのネクタイ素敵ですねえ」 そう言われて、思わず顔が綻んだ。 「これは祖父にもらったものなんです。祖父もたぶん喜びます。」 祖父が亡くなったのは数年前。遺品整理をしていたら、百本近くのネクタイが見つかった。 フランス紳士に憧れていた祖父。彼…

まるで天才ミュージシャンのバーゲンセールだな

久々にレコーディングをしてきたよ。 僕はニンゲンになりたかった。僕はニンゲンになれたのだろうか。 前回出した音源の名前は『模範解答』。 あれを出してなんだか燃え尽きてしまったぼくは、しばらく音楽やらなくてもいいや、なんてことを考えてしまってい…

2021年5月22日(土)栄TIGHT ROPE

_____________ 栄には、「女子大小路」と呼ばれる歓楽街がある。女子大と聞けば、どことなく華やかな印象を抱く人も少なくないだろう。しかしながら、栄の女子大小路はそんなイメージとは対極にある。 女子大小路には、ホストクラブ、ゲイバー…

やさしさのメモリ

感染症にてんやわんやの世の中で、演奏を披露する機会をいただいた。またしても無観客配信ライブで、お客様との面会は叶わない。しかし、久方ぶりに演奏できることを嬉しくも思う。と同時に、不安で仕方がない。 よからぬ想像ばかり拵え、眠ろうとすればする…

新栄アポロベイス_20210301

新栄アポロベイスが2022年3月27日に閉店することが発表された。本稿はこの発表に寄せた或るバンドマンの駄文となる。 僕は以前、サイフォニカというバンドをやっていた。ミニアルバムを何枚か出して、あちこちツアーに行って、そこそこ精力的に活動していた…

夏の庭

人が死ぬところを、初めて目の当たりにした。 執拗なまでに雨が降り続ける長梅雨がようやく明けたのは、七月末のことだった。梅雨の終わりには、いつも腹立たしいほどの青空が広がっている。大雨は各地に甚大な被害を与えたが、そんなことは歯牙にもかけない…

穏やかな日々

ここ最近ちっともギターが上達しない。新しい技を覚えても自分の曲に落とし込めるほど磨けない。ライブをしなくなって、スタジオに入らなくなって、音楽に対して少しずつ無関心になっていく。 ついでに本もめっきり読まなくなって、とことん言葉に大雑把にな…

school girl complex

こんな僕も、かつては高校生だった。 当時の僕は、今となっては信じられないほどバイタリティに溢れていた。 毎日が面白くて、仕様がなかった。 自由奔放な人だらけでてんでまとまりがないクラスも、お互いの価値観を認め合い、技を高め合った軽音楽部も、毎…

春の歌

‪件のなんとかウィルス。麦酒みたいな名前のウィルス。そういえばあの麦酒、大学生の時に初めて飲んだのは、大好きなハンバーガー屋だった。 僕はそれまで、日本製の麦酒ばかり飲んでいたんだ。けれどメキシコ産まれのそれに小さくカットしたライムを入れて…

summer complex

幼少時から地球温暖化の深刻さについてはよく聞かされていた。耳にはたこを通り越していかが生えてきた。そのぐらいしつこく、しつこく、何度も聞かされた。 地球温暖化の原因はオゾン層の破壊で、そのまた原因は便利になり過ぎた人間の生活だとか。 便利で…

ときには昔の話を。

‪あまりにも寒い冬の夜だった。風がびゅーびゅー吹き付けて、家の隣にある廃屋の窓や建て付けの悪い扉ががたがた音を立てて揺れた。寒さに耐えかねた僕は、「こちとら風呂上がりなんだぞ、風呂上がりなのにどうしてこんなに寒いんだ?馬鹿にしていやがる」と…

あたたかく、気恥ずかしく、ゆるい

「俺、バンドやる。」 そう言って就職活動を蹴飛ばした日から、なんとなく考えてはいた。 夢を追いかけ、そこに敗れた人の惨たらしさたるや、いったいどれほどのものだろう。 なんにも成果を残せず、鳴かず飛ばずの日々。 いくつになってもコンビニエンスス…

君の青い車で海に行こう

「なんとかハウス」っつー名前の、僕がとても嫌いな番組がありまして。 美男美女が寄り集まって脚本に沿った演技をしながら恋愛模様を描く、あれです。「りありてぃ」なんてモノを売りにしているテレビ番組が軒並み嘘くさいのはなんでなんだろうね。 まあ、…

おあいにく様

近ごろ元バンドマンの悲しいツウィートがあまりにも目に付く。呟きというにはあまりにもおぞましく、ウィットに富んでいなくて、攻撃的な、それらの言葉。 ‪解散した後で元メンバーの悪口言うぐらいなら、最初から「俺はあいつらのことが嫌いになったからバ…

ガソリンの揺れかた

四日市ドーム、 ハンドボール大会、 百円ショップのインソール。 バスドラムの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日。 たとえばそう、動く歩道を降りた後のあの感じさ。 たとえばそう、マックで紅茶を頼んだときにティーバッグが二つ付いてきて絶対に一個持ち…

リジンショウ

定期的に私が私であることを忘れてしまう。 いつもは私とは別の場所に意識があって、人の営みを俯瞰しているような感覚で生きている。 けれど私が私でしかないと気付いた瞬間に、心底気色悪いと感じてしまう。 歌を書いて、演奏して、多幸感に包まれていると…

休日(RC2)

休日を作ろうと思っていた。 ここ最近、明確に休日として認識できた日がほとんどない。 強いてあげれば先日の千葉さんのワンマンライブぐらいで、あとは毎日なにがしかの仕事をしている。しかしライブというものは得てして身体が休まらないものである。心に…

千葉晃平という男

ある日、千葉さんとそのお友達と連れ立ってライブハウスに行った。閉店間際の、多くの人に愛された店だった。 そしてそのライブハウスは、千葉さんにとっても大切な場所だった。 千葉さんが客席へと続く扉を開けると、昔馴染みの顔が見えたらしい。千葉さん…

故人

故人を貶めるつもりはない。 けれど死んだら誰もが二階級特進するこの世の中の在り様には、とても疑問を感じる。 生きている人間よりも、死んでしまった人間にこそ優しくあろうとする世の中が、心底気色悪い。 そりゃあ死人に口なし、死んでしまった人間は反…