2018-01-01から1年間の記事一覧
新栄の町には数え切れないほどの思い出があります。 以前組んでいたバンドで、何度この地にライブを演りにに来たことでしょう。繁華街である栄の町からほど離れた、場末の町。 新栄という名前に反して、栄よりもどこか古くさいこの町は、わたしの見解ではア…
野外ライブの盛んな土地、名古屋。 僕がライブした11月25日は、これまた憎たらしいぐらいに空が晴れていました。しかし僕の頭の中は曇りどころか大荒れでした。脳内でさまざまな敵を勝手に作って、さまざまな重圧をひとりでに拵えて、口から心臓か何か飛び出…
今日は僕の楽曲について、つらつらと綴っていこうかと思います。 僕がソロ活動である「僕はニンゲンになりたかった」として最初にリリースした曲は「グッドウィルハンティング」でした。 これは僕がサイフォニカというバンドを組んでいた頃に作詞作曲したも…
中学生の時分、私は登校拒否児童となった。 その空白の期間に、同級生たちが学んだであろう太宰治の「走れメロス」を今さらながらに読んで、ある先生のことを思い出した。 先生は私が通っていた中学校で、現代文を受け持っていた。当時すでに齢五十は超えた…
ただ、気付いて欲しかった。 11月4日のライブは豊橋の高校生バンドが三つ、大学生バンドが一つ、そして僕らという取り合わせのイベントになった。肌艶がよく、顔にまだあどけさが残る十代の少年少女たちの中に僕のような男が混じっていると、まさに不純物だ…
エレクトリックギターというのは弱虫の楽器なのです。あることないこと脚色して、一人の人間を、実物よりもずっと大きく見せる……。 そんなことを考えるようになってしまいました。 けれど僕は事実、弱虫ですから、エレクトリックギターを愛してしまうのです…
台風がいなくなった。洗い立ての青空は、どこまでも透き通っていて、陽射しも強かった。 伊勢湾台風並みの勢力とまで謳われた台風の名前は「チャーミー」だった。 僕の足は近所の郵便局へと向かっていた。もう10月の頭だというのに、歩いているだけですこし…
8月24日のライブについて、けっして自分たちがどうしようもないライブをしたわけではなかったのだけれど、なぜかその日のことについて綴る気力が湧かなかった。 信頼できるサポートメンバーに助けていただけている。ナガトくんと千葉さんには、本当に感謝し…
真っ暗でした。 部屋の電気を消して、しかし眼だけは開けたまま、ぼうっと上を眺めていました。 エアコンが運転していることを示す灯火だけが、唯一の光源でした。しかし、ほとんど何も見えやしません。 天井の染みも、細々とした汚れも、カーテンの色も、今…
僕はニンゲンになりたかった。 我ながらおかしな名前を付けてしまった。 けれどこの言葉を聞いたときに、少しでも同じ感覚を抱いたことがある誰かに気付いてもらえるのなら、この名前は武器になり得る。そう信じている。 6月30日。「僕はニンゲンになりたか…
昔から写真を撮られることが苦手だった。 「写真を撮られると魂を抜かれると思っているんだろう」 父のそんな冗談を真に受けたふりをしながら、わたしはレンズから逃げ回った。 けれど、本当のことを言えばわたしはわたしの顔を見たくなかった。それだけの理…
3月27日、大阪にライブを見に行った。以前、千葉でご挨拶させていただいた「それでも世界が続くなら」のライブだった。 自分のライブ以外の用事で大阪に来たのは、もう7年ぶりぐらいになるんだろうか。 今朝、ぼくの心には羽根が生えていた。大阪へ行くこと…
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。 すべてわたしが悪かったことにして、逃げ出してしまおうか。バンドマンにはありがちな、失踪。突然いなくなってしまう人…
豊橋での一日を描くのに躊躇ったのは、なにもあの日が思い出したくもないほどに厭だったから、というわけではない。 ただぼくは、自分がとんでもない大嘘吐きのように感ぜられて、筆を握る手が(この場合、ほんとうは"iPhoneを握る手が"と表現すべきだが、余…
今日は素敵な出会いがありました。憧れていた人に出会えて、その人は僕が想像していた通りの人でした。それがただ嬉しかったのです。 わたしの中で、さまざまな心境の変化がありました。昨日のわたしと今日のわたしとでは、まるで生まれた星さえ違うかのよう…
きょうのわたしは、朝からご機嫌でした。 めずらしく地元に雪が降っていたからでしょうか。それとも待ち焦がれていたテレビゲームが発売したからでしょうか。或いは、それと抱き合わせに買ったラッドウィンプスのCDが、予想を上回る上質なものであったからで…
頭がふらふらとする。昼に、NOROMAという小洒落た名前の拉麺屋に入った。ここの鶏そばは、じつに美味であった。わたしのこころは肥えていた。こんな美味いものを食う贅沢にうつつを抜かしているから、こころが肥えるのだ。こころが肥えた人間のうたは、果し…
バンドマンに聞いた話では、滋賀のB-Flatというライブハウスには幽霊が出るらしい。 バンドマンには怪談好きが多い。 論理的思考を以て 「それほど幽霊がいると思うのなら、おれに証明してみせろ。」 などと人を威嚇するバンドマンは、じつは殆どいないよう…
インフルエンザの流行ここに極まれり、本日の出演者の実に八十パーセントが、この流行りの病に依って演奏形態の変更ないし出演辞退を余儀なくされていた。 五つあった出演バンドは四つに減り、うち二つはバンドで出るはずだった予定が弾き語りでの出演となっ…
町田に来るのは、もう何回目だろうか。 ぼくらが東京の、殊に町田にばかりライブに行けるのは、やはり盟友93°のおかげ。彼らはぼくらの大切な友達で、好敵手でもある。 ここ最近、ライブレポートではなくてツアーにまつわる日記と化していたから、今日はしっ…
赤坂の町並みは綺麗に整っていた。駐車場代が渋谷よりも高くて驚く。昨日いた八王子とはえらい違いだった。日本で一番駐車場代が高いといわれたら信じる。 きょうはリハーサルのあと、メンバーとすこし揉めた。 音作りに関することだった。ツアー中はいつも…
実に勝手なイメージで、ぼくは八王子はもっと都会だと思っていた。 高速を降り、中途半端に栄えた町並みを潜り抜けて、目の前に現れたのは、やはり中途半端に栄えた地方の都市のような場所だった。 八王子RIPSはあたたかいライブハウスだった。バンドマンと…
新年一発目のライブでした。 我々もきょうはめずらしく、前もって共演者の音源を拝聴しましたが、なんだか前向きな音が多くて、ちょうどそのとき気分が沈んでいたのもあって、「うんざりするなあ」とか高慢ちきなことを宣っていました。 それらの音に対する…
2018年の正月。 明けまして御目出度う御座います、といった埃が積もった言葉を交わらすために故郷に向かう人々の姿があった。こんなぼくにも、会いたい人がいた。 人にとって故郷や、それを想う郷愁というのは宗教のようなものではなかろうか。ぼくは今日ま…