2018/01/13 赤坂TENJIKU

    赤坂の町並みは綺麗に整っていた。駐車場代が渋谷よりも高くて驚く。昨日いた八王子とはえらい違いだった。日本で一番駐車場代が高いといわれたら信じる。

 

    きょうはリハーサルのあと、メンバーとすこし揉めた。

    音作りに関することだった。ツアー中はいつも喧嘩をしてしまう。

    女子二人と男子一人。男と女は別の生き物だというひとがいるけれど、ぼくはあれは本当のことだと思う。

    ぼくも人間的にできた人格者ってやつではないし、多くのひとに好かれるような人徳もない。どちらかといえば、敵を作って、ひとに嫌われるたちの人間である。そんな男が、四六時中、女二人と行動を共にしていて、喧嘩をしないわけがないのである。

    外から見て、仲が良さそうなバンドが、実際にはそうでもないこともある。けれど、中には本当にメンバー全員仲がいいバンドもいる。まるで喧嘩をしないなんてことをいうバンドもいる。

    心底うらやましいと、時々おもう。

    ぼくらは別段仲がわるいわけではない、と信じているけれど、険悪な空気になることが多々ある。そのたびに、お互いの不満を解消出来るように努めてはいても、やはり衝突してしまうときがある。

     今日もなんとか話をして、折り合いをつけて、それからなんだかちぐはぐとしながらも、ステージに立った。

     今日の共演者には、弾き語りが多かった。けれどそのどれもが個性的で、光っていて、しかもその光は鈍色だった。鈍色に光る音やひとが、ぼくは好きだった。

 

     ぼくらはステージの上で、何が出来るのだろうか。今日は、とびきり重たいセットリストを組んだ。暗くて苦しくて悲しくて、演っているほうも聞いているほうも息が詰まりそうなセットリストだった。

     全力で演奏しながらメンバーの顔を見た。楽しんでいるような、苦しんでいるような、言葉では言い表せない表情だった。きっとぼくもそんな顔をしていたのだとおもう。そこで漸く、メンバーと繋がれた気がした。

    ぼくらは音楽を介して、男と女の差を乗り越える。そこには、嘘はないとおもう。