ボタンダウンシャツは風を孕んで

連日の雨で心がどんより。今日のライブに行くことがとてもこわい。

 

空はもう晴れているが、春を予感させる薄水色の曖昧な空は、かえって不安を煽る。

 

つい先週ライブしたはずなのに、やっぱりバンドと弾き語りってのはまたちょっと勝手が違うのよね。弾き語りは孤独。

 

俺から君に手渡せるものなんてあるのだろうか。俺はいつになったら心から自信を持てるのだろうか。

 

電車の窓から外の景色を見ようとしたら、向かいの席に座っている人と目が合って気まずい。誰が悪いでもないのに。

 

表現者の端くれであるというのに、ちっとも言葉が出てこない。自分の心を適切に表現する言葉が見つからずもやもやとしている日が多い。

 

言葉にできないから音楽という手段を選ぶのだろうか。その割にはポエトリーだのなんだの、やたら言葉を詰めようとするし、いろんな文学からの引用を試みたりする。かと思えば、偏差値2みたいな安直な言葉だけで歌を書くこともあるし。

 

おれは一貫性がない。だが一貫性がないことすら俺だと言えるようになりたいのだよな、本当は。

 

世界観がどうの、主義がどうの、一貫したスタンスがどうの、もう喧しいわ、って心のどっかで思ってるんだよ。

 

こうやって脈絡のない文章を書いているとふしぎと落ち着く。電車に出たり入ったりする人を横目に、ただ本当に生産性のないことをしていると、却って人の目とか羞恥心とかどうでもよくなってくる。

 

どうでもいい。なにもかもどうでも良くなる日を待ち望んでいる。そしたらいろんなことが苦しくなくなるだろうか。けれどその代わりいろんな喜びにも鈍くなってしまわないだろうか。

 

本当はそれが寂しい生き方だと気付いてしまっている。だから僕はできるだけいろんなことに落ち込んだり喜んだりしていたい。

 

今日出演するROLLINGMANは猥褻な店と同じビルにある。

あのちょっと気まずい空間を抜けた先に、せめて今日の希望を見出せますように。

そうしてライブを見に来てくれた君が、せめて後悔しませんように。

 

そんな歌が歌えますように。