ここ数ヶ月、バンド編成の曲を一切書けなくなっていた。
僕は作曲ペースが非常に遅い。ああでもない、こうでもないと考えているうちに自分の楽曲がぐにゃぐにゃと歪んでいく。考えなしに経営学部に通う大学生ぐらい芯のない作品を産み落とすたび、僕は落ち込んだ。何度譜面に向かってもそんな状況から抜け出せなかった。
今日、久しぶりに曲を書く気になった。
めずらしく深夜3時まで起きて歌を書いている。
この数ヶ月のうちに作った駄作の一つである「列車(仮)」のファイルをも一度開いてみた。自信のない作品を聞き返す時は、いつも度胸が要る。
けれど、存在悪くない曲だと思った。ただ、僕はその歌の錆びがどうしても気に入らなかった。
だから思い切って、まったく別のメロディを付けてみた。すると、驚くほどすんなりと馴染む。特に考えることもなく出てきたメロディだから、余計耳にも残りやすかった。
どんな言葉を乗せようかと考え始めたら、心が躍った。
音の羅列や、ぴんと張りつめたスチール弦、グリルボールが錆びたマイクロフォン、サポートメンバーのよこがお。毎日惨めな気持ちでいても、そういったものがいつも僕を救い出してくれる。
そして自分のようなくだらない男も一応生きていていいのだと肯定してくれるのは、ほかの誰の歌でもない。
あなたは誰かのためじゃなく、自分のために歌っていいのよ。それはけして、いけないことなんかじゃあないよ。けれど自分のために歌うんでしたら、世間に受け容れてもらえなかったとしても、恨みっこなしよ。
明日も、無茶しない程度に頑張りましょう。